伝わるマニュアルとは
モノや情報が溢れ、便利になった反面で、さまざまな危険性が私たちの生活を脅かしています。危険を回避するために、さまざまな情報が提供されていますが、多くは決してわかりやすいものではありません。わかりにくい情報が、ビジネスや消費生活にどのような影響を与えているでしょうか。その影響を軽視することは、大きな損失につながります。当社は、「わかりやすく伝える」という技術を社会に役立てていきたいと考えています。
バックグラウンド
●競争の激化
グローバルなマーケットで、多種多様な製品が流通しており、私たちの生活をより便利にしています。本来ならば、複雑な構造をした多機能製品は、設計・製造工程における安全性の検査項目が多くなりますので、市場投入までのリードタイムは長くなります。しかし、競争優位性を確保するために、各社とも製品の開発リードタイムやコスト圧縮を余儀なくされ、これまでにないスピードで市場投入する方向に進んでいます。製品のライフサイクルも短くなり、海外からも格安の製品がどんどん輸入されて、競争は激化する一方です。
各社とも、競争優位性を確保するために、新製品を少しでも早いタイミングで販売しようと努力しています。そして、開発コストやリードタイムの圧縮を優先した結果、製品の安全性確保にかける時間とコストが犠牲にされるケースも見受けられます。
●商品事故のリスク
誤使用による「製品事故」のニュースが後を絶ちません。便利さや快適性、あるいは所有する喜び、などを与えてくれるはずの製品が、私たちの安全を脅かす存在にもなっているのです。
製品の多機能化が進むと、ユーザーは多くの機能を覚えなければなりません。操作も複雑になり、誤使用のリスクは高まります。さらに、高齢化が進むこれからの社会においては、ユーザー層が変化します。間違った取扱いをされる危険性はますます大きくなることは容易に想定できます。それを食い止める役割を担うのがマニュアル(取扱説明書)の役割です。
●安全への期待
一方で、PL法や消費生活用製品安全法といった法の整備、そして業界標準の整備が進むと同時に、企業の社会的責任(CSR)の視点から、メーカーへの責任追及も厳しさを増してきました。製品の事故が事件に発展するケースも増えてくる中で、社会的弱者である消費者の安全を守ろうとする動きが強まっています。製品を手にするユーザーすべてが、安心して使える安全な製品が、今まで以上に強く求められています。
安全な製品を設計・製造することはもちろん、残余の危険についても、警告ラベルやマニュアルを通して、しっかりとユーザーに説明する責任がメーカーにはあります。
わかりにくいマニュアルの弊害
製品が複雑化・多機能化し、ありとあらゆる種類のモノが普及するのに比例して、「わかりにくいマニュアル」が氾濫しています。海外からの格安製品と一緒に、粗悪なマニュアルも流通しています。製品の回転のスピードにマニュアルの整備が追いついていないという状況です。厳しさを増すばかりのビジネス環境の中で、製品の開発や販売で精一杯になり、わかりやすいマニュアルを作成する余力が残っていないのかもしれません。「マニュアルはコスト」と位置づけて、コストカットの対象にしている企業があるのが現実です。
●マニュアルの欠陥は製品の欠陥
PL法で定義されている製品の欠陥には、「設計上の欠陥」、「製造上の欠陥」、「表示上の欠陥」の3つがありますが、この「表示上の欠陥」とは、マニュアルや製品に貼付される警告ラベルなどのことを指しています。マニュアルは製品の一部である、ということです。そしてPL訴訟の現場では、マニュアルは製品の「欠陥」を立証するために、もっとも多く利用される根拠となっています。製品の事故を報じるメディアも、マニュアルの重要性を大きくアピールしています。
●マニュアルの欠陥は企業の損失
不足した情報、誤解を生む情報、見つけられない情報、といったものは、間違いなく読み手(ユーザー)にフラストレーションを与えます。製品やメーカーへの不満となり、リピーターを失うことになるでしょう。場合によっては、製品事故の原因となり、企業は責任を追及されるかもしれません。
クレームやPL訴訟を恐れて、「クレームになりそうなことはマニュアルに書いておこう」、という対応をしている会社も数多くあります。それが、わかりにくいマニュアルを排出する要因となっています。「わかりにくさ」、これは決して軽視できない問題を引き起こすのです。
まず、読み手の負担を増大します。誤解をあたえ、誤使用の要因となりかねません。マニュアルが伝えようとする内容が、ユーザーに正しく伝わらないのは「欠陥」です。そのような「欠陥マニュアル」をユーザーに手渡すことは、企業にとって大きな損失になります。
●損失を回避するために
それでも、なくならない「わかりにくいマニュアル」。マニュアルを作りこむ予算や時間がない、そのような話をよく聞きます。どうすれば、わかりやすいマニュアルを作ることができるのかわからない、という相談も受けます。たしかに、情報を「わかりやすく」整理して相手に伝えることは簡単なことではありません。時間もコストもかかります。日常生活の中でも、伝えたいことが正しく伝わらないと、トラブルの原因となります。そのことを私たちは感覚的に知っているはずです。「伝わらない」ことで発生する不本意な損失を避けるためにも、「正しく伝える技術/わかりやすく伝える技術」の必要性を見直さなければなりません。
わかりやすく伝える技術
走ることは誰でもできますが、オリンピックに出場できるレベルで走るとなると、まったく別の話になります。厳しいトレーニングを継続しなければなりません。同じように、情報を発信する(話す・書く)のは誰でもできますが、正しく伝えることは難しいことです。正しく伝えるためのトレーニングをしっかりと受けて、知識と技術を身につける必要があるのです。
しかし、残念ながら「わかりやすく伝える」トレーニングを提供してくれる場は、あまりありません。日本における国語教育でも、その技術を学ぶ機会がないのが現状です。
「わかりやすく伝える」技術は、マニュアル制作に限定されるものではなく、掘り下げていけば、コミュニケーション技術にいきつきます。マニュアルの業界では、多機能製品や専門的な機械などの複雑な情報をユーザーの役に立つように、わかりやすく加工して伝えることを「テクニカルコミュニケーション技術」と呼んでいます。
マニュアル(取扱説明書)の役割は、製品の取扱方法や機能・仕様をユーザーに伝えるだけにとどまりません。製品自体の危険性、製品を取扱う上での危険性、製品を誤った取扱いをした場合の危険性といった安全に関する情報も、きちんと伝えることが求められます。これは、ユーザーの安全を守るためにも、またメーカーの賠償リスクを軽減するためにも絶対に必要なことです。
では、「わかりやすさ」とはいったいどういうことでしょうか?
人はどんなときに「わかりにくい」と感じるのでしょうか?
「わかりやすいマニュアル」は、どうやって作ればよいのでしょうか?
当社は、テクニカルコミュニケーション技術をベースに、「わかるマニュアル」「伝わるマニュアル」がユーザーに届けられるよう、総合的にサポートしています。今のマニュアルのどこに問題があるのか、なぜわかりにくいのか、どうすれば良くなるのか、当社のノウハウをご活用ください。 →「ニーズに応えるサービス」